【器用大富豪】アルネ・ヤコブセン:デンマークの建築とデザインの巨匠!

アルネ・ヤコブセン Arne_Jacobsen 建築家

アルネ・ヤコブセンは、20世紀に活躍したデンマーク出身の建築家兼デザイナーです。彼の生涯や代表作、建築の特徴について詳しく見ていきましょう。

生涯

アルネ・ヤコブセンは1902年にデンマークのコペンハーゲンで生まれました。彼は当初画家を志望していましたが、父親の反対を受けて建築の道に進むことを決意しました。1924年にデンマーク王立芸術アカデミーに入学し、1927年に卒業しました。在学中、彼はパリ万博のデンマーク・パヴィリオンの椅子の設計に参加しました。

卒業後、ヤコブセンは建築家のパウル・ホルセーの事務所で働き、1929年には自らの事務所を設立しました。彼はモダニズムの形式を取った未来の家を発表し、デンマーク国内で注目を集めました。1930年代には多くの住宅や公共建築を手がけ、特にクランペンボーの海岸沿いのベルヴュー地区に建設したリゾート型複合住宅は印象的でした。

第二次世界大戦が勃発すると、ヤコブセンはユダヤ人であるためナチスによる迫害を恐れてスウェーデンに亡命し、建築設計の仕事をほとんど行いませんでした。戦後、デンマークに帰国し、スーホルム集合住宅やSASロイヤルホテルなど、革新的な建築プロジェクトに取り組みました。

1971年に着工したデンマーク国立銀行は、ヤコブセンの最初の国家レベルでの仕事であり、遺作となりました。同年、彼は69歳で亡くなりました。

代表作

アルネ・ヤコブセンの代表作には、以下のようなものがあります。

  • アントチェア: 1952年に発表された、蟻のような形をした木製の椅子。軽量でスタッキングできる機能性と、曲線美を兼ね備えたモダンなデザインが特徴です。
  • スワンチェア: 1958年に発表された、白鳥のような形をしたアームチェア。SASロイヤルホテルのロビー用にデザインされ、曲面のシェルを一枚の合板で成形した技術的な傑作です。
  • エッグチェア: 1958年に発表された、卵のような形をしたアームチェア。スワンチェアと同じくSASロイヤルホテルのロビー用にデザインされ、座る人を包み込むような快適さとプライバシーを提供します。
  • セブンチェア: 1955年に発表された、背もたれの形が数字の7に似ている木製の椅子。ヤコブセンの最も知られた作品であり、500万本以上を販売しています。
  • SASロイヤルホテル: 1956年に竣工した、デンマーク国内初の高層ビルであるホテル。ヤコブセンが建物の設計からインテリアデザイン、照明やドアノブ、食器類などの細部までを一貫して手がけた総合芸術作品です。
  • セント・キャサリン・カレッジ: 1964年に竣工した、オックスフォード大学のカレッジ。ヤコブセンが建物の設計からランドスケープデザイン、家具や食器、カトラリーなどの細部までを手がけた英国での代表作です。
  • デンマーク国立銀行: 1971年に着工した、デンマークの中央銀行。ヤコブセンの最後の仕事であり、彼の死後に竣工しました。重厚な外観と対照的に、内部は明るく開放的な空間となっています。

  >>デンマーク国立銀行については別記事で紹介しています。

建築の特徴

アルネ・ヤコブセンの建築の特徴は、モダニズムの影響を受けつつも、デンマークの伝統や自然に配慮したデザインを展開した点が挙げ

られます。以下にヤコブセンの建築の特徴を続けて説明します。

  • デンマークの伝統とモダニズムの融合: ヤコブセンはモダニズムの理念に基づいて新しいデザインを探求しましたが、同時にデンマークの伝統や文化を尊重しました。例えば、スーホルム集合住宅では非対称の屋根や木製の窓枠などで、デンマークの農家の雰囲気を取り入れました。彼は建築を通じて国のアイデンティティを表現しました。
  • 全体性と細部へのこだわり: ヤコブセンは建物の全体性と細部の美しさに同じく重要性を置きました。例えば、SASロイヤルホテルでは、建物の外観からインテリア、家具、照明、食器、ドアノブなどの細部までを一貫してデザインしました。この一貫性によって、建物全体が調和を持ち、一つの芸術作品として昇華されました。
  • 曲面と曲線の使用: ヤコブセンは建物や家具デザインにおいて曲面や曲線を多用し、柔らかさや流動性を表現しました。スワンチェアやエッグチェアでは、一枚の合板を成形して白鳥や卵のような形を作り出し、独自のデザイン言語を確立しました。これらのデザインは、その美的価値と機能性から高く評価されています。
  • シンプルで洗練された色彩と素材の選択: ヤコブセンはシンプルで洗練された感覚を持ち、色彩や素材の選択において独自の美的視点を発揮しました。セント・キャサリン・カレッジでは、白いレンガやガラス、ステンレスなどの素材を用いて、明るく清潔な雰囲気を作り出しました。彼のデザインは、シンプルでありながら、その美しさが際立っています。

まとめ

アルネ・ヤコブセンは、建築家とデザイナーとして、モダニズムとデンマークの伝統を見事に融合させた作品を生み出しました。彼の作品はその斬新なデザインと優れた機能性から、今もなお多くの人々に愛されています。彼は建築とデザインの分野で、その優れた才能とアイデアを通じて不朽の遺産を残しました。アルネ・ヤコブセンの建築とデザインに触れることで、彼の芸術的な視点と創造力を感じることができます。

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